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部屋を出て階段を降りると、香ばしい匂いが鼻をかすめる。どうやらキッチンでヒロミさんが料理を作っているようだった。
廊下を歩いて玄関まで行くと、私を待っているかの如く、新品のローファーが揃えて置かれている。恐る恐る足を差し入れると、予想通りサイズはぴったりだった。
「あら、朝ごはんは食べて行かないの?」
足音に気付き、ヒロミさんが顔を覗かせる。
「大丈夫です。紅茶、御馳走様でした」
「そう。気を付けて行ってらっしゃいね」
ドアを開けた私に続き、ヒロミさんもサンダルを履いて外へ出る。
「道を右に曲がってまっすぐ行くと、通学路とぶつかるわ。この時間は同じ学校の生徒さんが沢山歩いているからすぐ分かると思う」
「ありがとうございます」
歩道まで出てヒロミさんの方を振り返り、私は思わず息を呑む。
彼女の頭上に佇むアーチ型の門には、『コーポ・エトワール』と書かれていた。
部屋を出て階段を降りると、香ばしい匂いが鼻をかすめる。どうやらキッチンでヒロミさんが料理を作っているようだった。
廊下を歩いて玄関まで行くと、私を待っているかの如く、新品のローファーが揃えて置かれている。恐る恐る足を差し入れると、予想通りサイズはぴったりだった。
「あら、朝ごはんは食べて行かないの?」
足音に気付き、ヒロミさんが顔を覗かせる。
「大丈夫です。紅茶、御馳走様でした」
「そう。気を付けて行ってらっしゃいね」
ドアを開けた私に続き、ヒロミさんもサンダルを履いて外へ出る。
「道を右に曲がってまっすぐ行くと、通学路とぶつかるわ。この時間は同じ学校の生徒さんが沢山歩いているからすぐ分かると思う」
「ありがとうございます」
歩道まで出てヒロミさんの方を振り返り、私は思わず息を呑む。
彼女の頭上に佇むアーチ型の門には、『コーポ・エトワール』と書かれていた。
