夜空の下、一人で登った階段を、二人で並んで降りて行く。

「……そのプロデューサーってのが、意識を取り戻したんだな。んで、それを連絡して来たのが」
「結城くんだと思う。彼もゲームデータと一緒に消えてしまってたんだけど……きっと自分の姿が元に戻った後、織也くんみたいに箒星に祈ったんだね」
「俺ら以外にこっちの世界に来た奴がいたなんてな」

 元々私をゲームの世界に引きずり込んだのは、結城くんだった。

(もし私が結城くんなら、きっと流れ星にこんな願いを託すはず)
(『ジュンと直接話がしたい』って)

「……そう言えば」

 粉雪が舞う中、ふと織也くんは立ち止まった。

「きらら、どこ行ったっけ」
「……え?」

 突如発された言葉に、私も思わず足を止める。

「いや、なんだ。あいつもいたんだよ。俺が元に戻った時」
「屋上で流星群を見た時ってこと?」
「そう」

 瞬間、タイミングを見計らったかのように階下で争うような声が聞こえた。