「老けたんだな、俺」
「え?」
「昔話したことあっただろ。俺達、海羽と過ごしたのは一年だったけど、その前もずっとお前が来るのを待ってたって。あの世界で俺達は必要以上の歳を取らないけど、お前がいるこの世界とは時間の流れ方が違うから……過ぎた時間だけ、ここに来る時に成長しちまったのかなと思って」
「なるほど……」
「そう考えると意外と俺の方が年上だったりしてな」
目を細め、織也くんは笑う。
「……ま、何でもいいか」
そう言うと、不意に彼は指先で私の顎をすくった。
「え……?」
驚く私に、彼は笑顔を浮かべたまま優しい視線をまっすぐに向ける。
「どっちにしろ、次は俺がお前を攻略する番だからな」
寒さで掠れる、低くも柔らかい声。
耳の奥で彼の声が響いた瞬間、私の心臓はどくん、と大きく脈打った。
「……海羽」
「織也くん……」
(……どうか)
(どうか、これが夢じゃありませんように)
彼の視線に促されるように、瞳を閉じた瞬間ーー
「!」
ピリリリ、と鳴り響いたスマートフォンの着信音が甘い雰囲気を引き裂いた。
「え?」
「昔話したことあっただろ。俺達、海羽と過ごしたのは一年だったけど、その前もずっとお前が来るのを待ってたって。あの世界で俺達は必要以上の歳を取らないけど、お前がいるこの世界とは時間の流れ方が違うから……過ぎた時間だけ、ここに来る時に成長しちまったのかなと思って」
「なるほど……」
「そう考えると意外と俺の方が年上だったりしてな」
目を細め、織也くんは笑う。
「……ま、何でもいいか」
そう言うと、不意に彼は指先で私の顎をすくった。
「え……?」
驚く私に、彼は笑顔を浮かべたまま優しい視線をまっすぐに向ける。
「どっちにしろ、次は俺がお前を攻略する番だからな」
寒さで掠れる、低くも柔らかい声。
耳の奥で彼の声が響いた瞬間、私の心臓はどくん、と大きく脈打った。
「……海羽」
「織也くん……」
(……どうか)
(どうか、これが夢じゃありませんように)
彼の視線に促されるように、瞳を閉じた瞬間ーー
「!」
ピリリリ、と鳴り響いたスマートフォンの着信音が甘い雰囲気を引き裂いた。
