「それで、どうして織也くんはここに……?」

 気になっていたことを尋ねると、彼は「それがよく分かんないんだよな」と首を傾げる。

「目が覚めたら高校の屋上にいてさ。町も学校も消えてない、いつも通りの風景だったから、この世界は救われたんだって思ったけど……隣にお前はいなくて。その時ちょうど流星が降って来たから、祈っただけ。『お前にまた会えますように』って」

 んで気付いたらここに、と織也くんは笑う。

(壱師町も、織也くんも、元通りになったのに)

 彼が自分との再会を望んでくれた事実に、じんわりと胸が温かくなった。

「海羽も、なんかイメチェンしただろ」
「え? 特に変わったことはないと思うよ」
「そうか? 蒼遥に通ってた頃は、何つーか、もうちょっと高校生っぽかっただろ」
「それを言うなら織也くんだって、ちょっと違う気がするけど」

 首を傾げつつ、私達は互いに見つめ合う。

(元々大人っぽい高校生だなとは思ってたけど)

 上手くは表現できないけれど、目の前の織也くんは、更に大人っぽくなった気がする。
 髪だって少し伸びたし、ただでさえ高かった身長は私との差を更に広げていた。
 しばらく眉根を寄せていた織也くんは「あー、分かった」と指を鳴らす。