多分、私達はもう再会することはできない。一緒に夜空を見たり、教室で冗談を言い合って笑い合うことも、もうできない。

(だって、私達は住む世界が違うから)

 それならせめてゲームを完成させることが、そして彼や他の仲間達が暮らす世界を完全な形として整えてあげることが、元の世界へ戻った私に託された役割だと思った。

(向こうの世界がどうなったかについては確かめようがないけれど)
(せめて、皆が『エトワール』の世界で幸せに生きられますように)

 オープニング音楽と共に、画面に満天の星が表示される。

『この町では、リコリス座流星群が綺麗に見えることで有名だった』
『彼は言う。“流れ星に三回祈れば、願いは叶う”と』
『私はこの町で、最初で最後の高校生活を送ることになる』

 先を進めようとしたところで、ガゴン、と車内が大きく震える。
 突然訪れた衝撃を予測していなかった私はバランスを崩し、慌てて座席のソファに手をついた。

『車内のお客様にご連絡申し上げます』

 天井のスピーカーから、車掌の声が聞こえてくる。

『この列車は降雪のため、ここから先の区間にて徐行運転を行います』

 流星群が見られる時間は決まっていたはずだ。私はコートの袖をめくり、手首にはめた腕時計を見やる。
 時計の針は、既に到着を予定していた時刻に迫ろうとしていた。