流星とジュネス

「旧アムールゲームス部のお二人もお疲れ様でした」

 そう言って私と横江さんに声をかけてきたのは、社長と共に会場へやって来たハイクレックスの執行役員だ。ちゃっかり片手にビールを握った彼の頬は、心なしか紅潮しているように見える。

「人事から聞きましたが、有明さんは去年の四月に入社したばかりだったそうですね」
「はい」
「海羽ちゃん、本当に頑張ったわよね」

 私の肩に手を置いた横江さんが感慨深そうに呟く。
 途中で次元を超えてワープしてしまうと言うとんでもないアクシデントがあったものの、蒼遥高校の生徒として過ごしたこと、そしてアムールゲームスを引き継ぐメンバーとしてゲームの完成まで走りきれた経験は全てが私の宝物だ。

「私、学生時代からずっと何となく生きて来てたんです。正直に言うとこの会社にも、やりたいこととか、夢とか……特に何も持たないで入りました。この部署に配属された時だって、どうしたらいいんだろうって戸惑いましたけど……新人の私に、沢山のことを任せてくれて、本当にかけがえのない経験になりました。ありがとうございました」
「成長したわねえ……海羽ちゃん……」

 瞳をうるませる彼女を見て、こみ上げそうになる感情を何とかこらえる。