流星とジュネス

 メディアからの質問に続き、客席の前列に座っていた中年の女性が手を挙げた。

「アムールゲームスの作品が大好きな古参のファンです。イベントの冒頭に今回の作品はシナリオにこだわったとのお話がありました。これまでの作品と比べてどのように違うのか、どんな点がこだわりなのかを教えてください」
「これは海羽ちゃんかしらね」
「えっ!?」

 横江さんにマイクを渡され、心臓が跳ね上がる。
 往年のファンの方を相手に、果たして満足してもらえるようなコメントを返せるか。
 マイクを握る手が汗で滲む中、私はしどろもどろになりつつも言葉を紡いだ。

「ネタバレになってしまうのであまり詳しく話すことはできませんが……私自身、シナリオの制作に関わる上で大切にしたのは『お互いの幸せ』です」

 その心は、と言わんばかりに瞳を瞬かせるゲストを前に、私は続ける。