(……ん?)
ふと顔を上げると、ベッドサイドに写真立てが置かれていることに気付く。
(あの写真……)
中学生くらいの年齢だろうか。
親しげに肩を組み合う二人の少年の姿が、写真に収められている。
彼らの表情を目にするなり、私は思わず亀山さんのセーターの裾を引っ張っていた。
「あ、あの。亀山さん」
「どうしたの?」
「あそこに飾ってある写真……!」
写真立てに視線を向けた亀山さんは「ああ」と頷く。
「あの写真、アムールで働いていた頃も、いつもデスクに飾ってあったわね」
「左側が熊谷さんですよね?」
「そうね。笑った時の目の感じとか、成長しても変わらないわよね」
「じゃあ、右側は……?」
若い頃の熊谷さんの隣で望遠鏡を抱え、写真の中でにっこりと微笑む少年。
細身の体躯に中世的な顔立ちは、まさに結城くんに瓜二つだった。
「……そう言えば、話してなかったわね」
慌てふためく私を見て思い出したのか、亀山さんが急に声を落とす。
「あの男の子こそ、『エトワールの約束』が制作されることになったきっかけなのよ」
ふと顔を上げると、ベッドサイドに写真立てが置かれていることに気付く。
(あの写真……)
中学生くらいの年齢だろうか。
親しげに肩を組み合う二人の少年の姿が、写真に収められている。
彼らの表情を目にするなり、私は思わず亀山さんのセーターの裾を引っ張っていた。
「あ、あの。亀山さん」
「どうしたの?」
「あそこに飾ってある写真……!」
写真立てに視線を向けた亀山さんは「ああ」と頷く。
「あの写真、アムールで働いていた頃も、いつもデスクに飾ってあったわね」
「左側が熊谷さんですよね?」
「そうね。笑った時の目の感じとか、成長しても変わらないわよね」
「じゃあ、右側は……?」
若い頃の熊谷さんの隣で望遠鏡を抱え、写真の中でにっこりと微笑む少年。
細身の体躯に中世的な顔立ちは、まさに結城くんに瓜二つだった。
「……そう言えば、話してなかったわね」
慌てふためく私を見て思い出したのか、亀山さんが急に声を落とす。
「あの男の子こそ、『エトワールの約束』が制作されることになったきっかけなのよ」