「アムールゲームスが倒産しなくて良かったです。残されたメンバーで業務を引き継ぐのは大変かもしれませんが、ファンの方々のためにもどうかリリースまで頑張ってください」

 岡平さんの言葉で、私達が完成させたゲームをプレイする人々の姿を思い浮かべる。

(そうだ。沢山の人の想いが、このゲームには詰まってる)

 あの時、リコリス座流星群の下で、私は『エトワール』の世界を救うことを、そして熊谷プロデューサーの想いを継ぐことを心に誓った。 

(だけど今は、それだけじゃない)

 元の世界へ戻ってからも、『エトワールの約束』は、私にたくさんの出会いをもたらしてくれた。私の話を驚きつつも信じてくれた横江さん、アムールゲームスを救うために再びオフィスへ戻って来てくれた二人の元社員、そして将来このゲームを手に取るユーザーの人々――
 ゲームに関わった人全て、そしてこれからゲームを遊ぶ全てのユーザーの想いが、この作品には込められているように思う。

(……そのためにも)

 拳をぎゅっと握りしめ、私は真正面から岡平さんを見つめる。

「ありがとうございます。最後まで頑張ります」

 すっかり魂が抜けてしまった様子の横江さんに代わり、私は彼に笑顔で答えた。