「必ずしも同じ道に進まなくても、私は別にいいんじゃないかなって思います」
「そう?」
「風間くんにとっての幸せは、大切な人とずっと一緒にいられることだと思います。だからもし進路が違っていても、プライベートの時間を共有したり、支えてあげたりすることができたら、彼は幸せなんじゃないかなと思って」

 一度は弟のために大学へ進む道を諦めようとしたくらいだ。身近な人を思いやれる彼だからこそ、別の進路を選んだとしてもきっと幸せな未来を歩むことができるだろう。

「確かに海羽ちゃんの言う通りだわ」

 横江さんは微笑み、再び視線をパソコンの画面へ戻す。
 彼女の手さばきによってキャラクター達の人生が物語へと昇華されて行く様子を、私はしばらく惚けたように見つめていた。