亀山さんと福永さんがゲームデータの調整を進めている中、私と横江さんは残されたシナリオを考えるべく来客用のテーブルで顔を突き合わせていた。

「風間くんは、よくコンビニのお団子を食べてました」
「じゃあバレンタインデーのプレゼントは和菓子を選ぶと好感度が上がるように設定しましょうか。クラスメイトだから、あげるタイミングは休み時間でいいわね」
「はい。あと、入院している弟の旭君の分もあるといいと思います」
「了解」

 悩む素振りを見せつつも、横江さんは高速でノートパソコンに文章を打ち込んで行く。
 シナリオを二人で完成させようと言い出した横江さんの提案は、『私がゲームの世界で体験して来たことを横江さんがシナリオとして書き起こす』と言うものだった。
 実際にワープして来たこともあり、世界観やキャラクターの性格は私の方が理解しているかもしれないが、乙女ゲームに関しては長年数多のソフトをやり込んでいる彼女の方が遥かに詳しい。

「滉平ルートの最終的な着地点はどうしましょうか。とりあえず彼は推薦で体育大学に進むことがで決まってるけど、主人公も同じ道に進むルートがいい?」
「うーん……」

 首を傾げつつ、私は風間くんの姿を思い浮かべる。