ピピピ、と聞き慣れないアラーム音が鳴り響く。
夢つつつの中聴力のみを駆使し、音の根源を止めたは良いものの。
(私――目覚まし時計持ってない)
強い違和感を覚えて布団から起き上がったのと、部屋のドアが開いたのはほぼ同時だった。
「うわぁっ!?」
室内に突然現れた中年女性に私は仰天して後退り、壁に強く頭をぶつける。
「あら、朝から元気ね。いつまでも下に降りて来ないから、紅茶持って来ちゃった」
そう言って女性は両手に持ったトレイをベッドサイドのテーブルへ置いた。点と点を繋ぐように、私の視線は紅茶へ向き、女性、そして室内へと動いて行く。
決定的に分かったことはまず一つ。
ここは、私の家ではない。
「あ、あ、あなたは……?」
半ばパニックになりながら、目の前の女性に尋ねる。
ゆるやかにウェーブのかかった髪の毛を一つにまとめた、柔らかい印象を与える女性だ。怯える私に反し、彼女はにこにこと穏やかな笑顔を崩さないまま言った。
夢つつつの中聴力のみを駆使し、音の根源を止めたは良いものの。
(私――目覚まし時計持ってない)
強い違和感を覚えて布団から起き上がったのと、部屋のドアが開いたのはほぼ同時だった。
「うわぁっ!?」
室内に突然現れた中年女性に私は仰天して後退り、壁に強く頭をぶつける。
「あら、朝から元気ね。いつまでも下に降りて来ないから、紅茶持って来ちゃった」
そう言って女性は両手に持ったトレイをベッドサイドのテーブルへ置いた。点と点を繋ぐように、私の視線は紅茶へ向き、女性、そして室内へと動いて行く。
決定的に分かったことはまず一つ。
ここは、私の家ではない。
「あ、あ、あなたは……?」
半ばパニックになりながら、目の前の女性に尋ねる。
ゆるやかにウェーブのかかった髪の毛を一つにまとめた、柔らかい印象を与える女性だ。怯える私に反し、彼女はにこにこと穏やかな笑顔を崩さないまま言った。