「ゲームシステムとしては既に大方が完成しているので、サウンドやキャラクターの立ち絵などは既存のものでカバーできると思います。あと必要なものは、足りない分のシナリオと各キャラクターのエンディングに合わせたグラフィック、それから台詞に合わせたボイスデータですかね」
「僕はシナリオはちょっと自信ないですが、どなたか書いてくださればデータとしてインプットして行きますよ」
「確かに私達、技術畑出身だからシナリオは専門外だよね……」

 困ったように顔を見合わせる亀山さんと福永さんを見て、「はい!」と横江さんが手を挙げた。

「シナリオなら、私と海羽ちゃんで完成させるわ」
「ええ!?」

 シナリオはおろか小説ですら、生まれてこの方一度も書いたことがないのだが。

(そんな私が担当しちゃっていいのかな……)

 横江さんの方を向くと、彼女は「大丈夫よ」と得意げに片目をつぶって見せた。

「多分これは、あなたにしかできない仕事だから」