流星とジュネス

「『エトワール』に関しては当時の資料が自宅にも残っていたので、持って来ました。例えば、ゲームに登場する全キャラクターの立ち絵はこちらですね」
「っ……!」

 亀山さんに見せられたページを前に、思わず息を詰まらせる。
 久方ぶりに再会する、愛しい人々の姿だった。
 目の前の彼らのビジュアルはイラストとして表現された形となっているが、記憶の中で、彼らは確かに感情を持った状態で私と会話をし、同じ時を過ごしていたのだ。

「へえ。こんな作品だったのね。イラストも素敵じゃない」

 立ち絵を眺めながら、横江さんは感嘆の声を漏らす。

「このファイル、お二人に差し上げますので良かったら使ってください」
「えっ!?」

 思い出の品をあっさり手放そうとする亀山さんに、私は驚いて首を振る。

「そんな、お借りするだけで十分です」
「そうですか? 必要に応じて煮るなり焼くなりしていただいて構いませんが……」
「とんでもないです! こんな貴重なもの」

 興味深そうにファイルをめくっていた横江さんだったが、やがて真剣な面持ちで亀山さんの方を向いた。

「亀山さん。それではゲームの開発に協力していただく件はやはり……」

 最初に彼女へ電話をした時点では、開発の協力に関しては保留の旨を伝えられていた。
 わずかな懸念を抱いていたとおり、亀山さんは「ごめんなさい」と表情を曇らせる。