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私と横江さんは当時の名簿を元にインターネットを駆使し、アムールゲームスに所属していた分かる限りのメンバーに連絡を取った。
ほとんどの社員からは既に別会社に転職していることなどを理由に断られてしまったが、当時ディレクターを務めていた亀山さんと言う方と連絡がつき、何とか横江さんと三人で都内のカフェでアポイントメントを取りつけるまでに至る。
「初めまして、亀山花枝です」
待ち合わせ場所に小さな息子と手を繋いで現れた亀山さんは、30代半ばくらいのほっそりとした女性だった。
白い肌にオリーブ色のワンピース。ナチュラル系の色味のファッションで統一された彼女は物静かで落ち着いた印象を受ける。
「お忙しい中ありがとうございます。突然ご連絡してしまいすみません」
「『約束のエトワール』の開発はもう諦めていたので……電話をもらった時は驚きました」
「亀山さんはまだゲームの仕事に携わっているんですか?」
「いいえ。なんだか熊谷の件があってからは燃え尽きてしまって……子供もまだ小さいですし、今は家で専業主婦をしています」
彼女は傍らに置いたリュックサックから、分厚いファイルを取り出した。
私と横江さんは当時の名簿を元にインターネットを駆使し、アムールゲームスに所属していた分かる限りのメンバーに連絡を取った。
ほとんどの社員からは既に別会社に転職していることなどを理由に断られてしまったが、当時ディレクターを務めていた亀山さんと言う方と連絡がつき、何とか横江さんと三人で都内のカフェでアポイントメントを取りつけるまでに至る。
「初めまして、亀山花枝です」
待ち合わせ場所に小さな息子と手を繋いで現れた亀山さんは、30代半ばくらいのほっそりとした女性だった。
白い肌にオリーブ色のワンピース。ナチュラル系の色味のファッションで統一された彼女は物静かで落ち着いた印象を受ける。
「お忙しい中ありがとうございます。突然ご連絡してしまいすみません」
「『約束のエトワール』の開発はもう諦めていたので……電話をもらった時は驚きました」
「亀山さんはまだゲームの仕事に携わっているんですか?」
「いいえ。なんだか熊谷の件があってからは燃え尽きてしまって……子供もまだ小さいですし、今は家で専業主婦をしています」
彼女は傍らに置いたリュックサックから、分厚いファイルを取り出した。
