「うわー、ムシムシしますね」
外に出た瞬間に絡みつく熱風に、穂波ちゃんが顔をしかめる。
近頃は忙しくて天気を気にする暇もなかったが、いつの間にか季節は夏に突入しているようだった。
「穂波ちゃんも入社してもう三ヵ月かあ」
「そうですよ! 私と海羽先輩が出会って三ヵ月でもありますっ」
無邪気な答えに笑いながら、私は新入社員に尋ねる。
「社会人生活には慣れた?」
「はい! 私、学生時代からずっとこの会社でゲームが作りたくて……だから、すごくやりがいを感じてます」
「そっか。穂波ちゃんはこの部署に入りたくて入社したんだもんね」
時代は変わる。
彼女の言葉に、私は時の流れの速さを感じずにはいられなかった。
「……穂波ちゃん、知ってる?」
「なんですか?」
「実はアムールゲームス部は、私と横江さんの二人から始まったんだよ」
「ええっ!?」
信じられない、と言わんばかりに彼女は瞳を丸くさせる。
「そんな、二人じゃゲームなんて作れないじゃないですか!」
「それが作れちゃったんだよねえ」
仲間が増えた今となっては、遠い昔のことのようにも思えるけれど。
「それにね。この部署ができる前にも、実はながーいドラマがあって……」
これから先の人生でも、きっと忘れることのできない。
大切な、私の社会人一年目の物語だ。
「海羽先輩、教えてください!」
「じゃあ、リリースイベント後の打ち上げの時にでも話そっかな」
「え~!? 今教えてくれるんじゃないんですか!?」
大げさに驚いてみせる彼女のオーバーリアクションっぷりに笑いながら、私は都会のビルの合間から覗く夏の星空に目を向けた。
『流星とジュネス』
外に出た瞬間に絡みつく熱風に、穂波ちゃんが顔をしかめる。
近頃は忙しくて天気を気にする暇もなかったが、いつの間にか季節は夏に突入しているようだった。
「穂波ちゃんも入社してもう三ヵ月かあ」
「そうですよ! 私と海羽先輩が出会って三ヵ月でもありますっ」
無邪気な答えに笑いながら、私は新入社員に尋ねる。
「社会人生活には慣れた?」
「はい! 私、学生時代からずっとこの会社でゲームが作りたくて……だから、すごくやりがいを感じてます」
「そっか。穂波ちゃんはこの部署に入りたくて入社したんだもんね」
時代は変わる。
彼女の言葉に、私は時の流れの速さを感じずにはいられなかった。
「……穂波ちゃん、知ってる?」
「なんですか?」
「実はアムールゲームス部は、私と横江さんの二人から始まったんだよ」
「ええっ!?」
信じられない、と言わんばかりに彼女は瞳を丸くさせる。
「そんな、二人じゃゲームなんて作れないじゃないですか!」
「それが作れちゃったんだよねえ」
仲間が増えた今となっては、遠い昔のことのようにも思えるけれど。
「それにね。この部署ができる前にも、実はながーいドラマがあって……」
これから先の人生でも、きっと忘れることのできない。
大切な、私の社会人一年目の物語だ。
「海羽先輩、教えてください!」
「じゃあ、リリースイベント後の打ち上げの時にでも話そっかな」
「え~!? 今教えてくれるんじゃないんですか!?」
大げさに驚いてみせる彼女のオーバーリアクションっぷりに笑いながら、私は都会のビルの合間から覗く夏の星空に目を向けた。
『流星とジュネス』