*
昼休みの後、食堂からオフィスへ戻った私に「ちょっと付いて来てもらえるかしら」と横江さんが手招きをした。
「海羽ちゃんに、会わせたい人がいるの」
「どなたですか?」
「それは会うまでのお楽しみ」
彼女の後に続いてエレベーターに乗り、ビルの最上階へと向かう。
立ち止まった部屋の上に掲げられた表札を見て、私は全身が硬直する。
「え、ここって社長室ですよね……?」
「そうよ」と答える横江さんは、涼しい顔で部屋の扉をノックした。
「失礼します。横江です」
彼女の後に続いて室内へ入る。
私達を迎えたのは、口ひげを蓄えた恰幅のいい男性だった。
「社長、旧アムールゲームス部の新メンバーを連れて来ました」
毛並みのいいグレーの猫を抱えた姿に、デジャヴを感じる。
「おお、君が有明さんだね」
彼は猫を抱えたまま、にこにことこちらへ手を差し出した。
「ハイクレックス株式会社社長の、大島哲郎です。入社おめでとう、そしてアムールゲームスの後継部門に入ってくれてありがとう」
「あ、ありがとうございます……」
巨大なもみじ饅頭のような手をおずおずと握ると、彼の腕の中に収まっていた猫が「にゃあ」と嬉しそうな声を上げた。
昼休みの後、食堂からオフィスへ戻った私に「ちょっと付いて来てもらえるかしら」と横江さんが手招きをした。
「海羽ちゃんに、会わせたい人がいるの」
「どなたですか?」
「それは会うまでのお楽しみ」
彼女の後に続いてエレベーターに乗り、ビルの最上階へと向かう。
立ち止まった部屋の上に掲げられた表札を見て、私は全身が硬直する。
「え、ここって社長室ですよね……?」
「そうよ」と答える横江さんは、涼しい顔で部屋の扉をノックした。
「失礼します。横江です」
彼女の後に続いて室内へ入る。
私達を迎えたのは、口ひげを蓄えた恰幅のいい男性だった。
「社長、旧アムールゲームス部の新メンバーを連れて来ました」
毛並みのいいグレーの猫を抱えた姿に、デジャヴを感じる。
「おお、君が有明さんだね」
彼は猫を抱えたまま、にこにことこちらへ手を差し出した。
「ハイクレックス株式会社社長の、大島哲郎です。入社おめでとう、そしてアムールゲームスの後継部門に入ってくれてありがとう」
「あ、ありがとうございます……」
巨大なもみじ饅頭のような手をおずおずと握ると、彼の腕の中に収まっていた猫が「にゃあ」と嬉しそうな声を上げた。
