「……横江さん。今から私が話すこと、信じてもらえますか？」

　真剣な物言いに驚いたのか、横江さんの喉がごくりと鳴る音がする。

「そりゃあ内容によるけど……できるだけ理解する努力はするわ」
「ありがとうございます」

　あの時の日々を思い出すだけで、懐かしさと悲しさがこみ上げて来る。涙を堪え、私は彼女に打ち明けた。

「私、そのゲームの世界に行ってたんです」
「……え」
「信じられないと思うんですけど、騙されたと思って聞いてください」

　ぽかんと口を開ける横江さんを前に、私は眠っていた間の出来事を簡潔に話した。

「私だって夢だと思いました。でも、このペンダント……確かにあの世界でもらったものなんです」
「……」

　私の話にじっと耳を傾けていた彼女は、「ごめんなさい」と声を落とした。

「やっぱり……すぐには信じられないわ」
「……」
「そんな悲しそうな顔しないで。私だってそりゃあ理解してあげたいけど……それって、要するに次元を越えるってことでしょ？　三次元の世界に住むあなたが二次元の世界に行くなんて……そんな漫画みたいな話、現実では聞いたことがなくて」
「そうですよね……」