屋上のドアを蹴破り、外へ出る。
 凍りつくように冷たい風が吹きすさぶ中、私は息を呑んで上を見上げた。

 おびただしい数の光の束が、冬の夜空に青白い線を描いている。

(これがリコリス座流星群……!)

 畏怖の感情を覚えるほどの美しさに、思わず足がすくむ。

「バリアが近付いてる。早く祈れ」 

 織也くんの声で我に返り、私は慌てて指を絡めて両手を組んだ。

(どうか神様。私を、元の世界に戻して)
(元の世界に戻して。戻して――)

 両指の爪が手の甲の皮膚に食い込む。閉じた瞳から、涙が溢れた。