「そうだ、流星……」
「流星？」
「そう！　リコリス座流星群を見に行かなくちゃ！」

　両足に力を込め、私はふらりと立ち上がった。

「私がこの世界に来ることになった経緯は、この世界を創った一人の男性が自殺未遂を起こしたことから始まった。この学校に、彼の存在を知っていた生徒がいたの。その生徒はどうしても彼のことを救いたくて、丁度一年前にこの町に降り注いだリコリス座流星群に祈りを捧げた。それで二ヵ月後にこの世界へ迷い込んだのが……私」

　こみ上げる涙をこらえ、私は織也くんの瞳を見つめる。

「私、帰らなくちゃいけない。元の世界に。帰って、プロデューサーやこの世界を救わなくちゃ」

　私の言葉に、彼は静かに頷く。

「じゃあ、屋上だ」

　互いの手を掴んだまま、私達は階段を駆けのぼって行った。