クラスの人数が半分を切ったところで、蒼遥高校は閉鎖となった。
 澄み渡るような青空の下、この瞬間にも誰かが音もなく消えていることを考えると、見えない恐怖がじわじわと体内を侵食する。

 学校に通う必要がなくなっても、町が次第に静かになって行っても、私達は毎日制服を着て高校へ通い続けた。
 どうしてそうするのかは分からない。誰かが言い出した訳でもない。
 それでも高校へ通う行為はまるで、残された青春を奪われたことに対するせめてもの反抗のように見えた。

 いつ消えてしまうか分からない恐怖の中で教室へ集まり、身を寄せ合うように他愛のない話をする。

(……それでも)

 天国から垂らされた蜘蛛の糸がふっつりと切れるように、ある日ヨリと連絡がつかなくなり、次の日にはかなたと風間くんが登校しなくなった。