(……うそ!)
元々多目的室は二つのクラスが合同で授業を行う際などに利用される部屋で、学年全員が着席できるだけのキャパシティは備えていないはずだった。それでも室内へ集まった生徒を見て、私は驚愕する。
一組だけじゃない。どのクラスも、明らかに生徒の数が少なくなっていた。
「幼馴染、ここ空いてるよ」
聞こえた声に視線を巡らせると、端の席に座ったヨリが手招きをしている。
「ああ、ありがとう。ヨリ」
礼を言い、彼の隣へ腰を下ろす。
穏やかな笑顔を浮かべているものの、彼の表情は少しだけ疲れているように見えた。
「君の身にはまだ何も起きていなかったんだね。良かった」
「ヨリも無事で安心したよ」
「うん……」
そう呟いた彼は、力なく視線を落とす。
「……とりあえず、先生の話を聞こうか」
「そうだね」
部屋の扉が閉められ、三年生の学年主任を務める年配の教諭が壇上へ立つ。
不安げな表情でざわめく生徒をぐるりと見回し、彼は重い口を開いた。
「皆さん、落ち着いて聞いてください」
話によると、数日前から蒼遥高校に在籍する複数人の生徒が学校へ姿を見せなくなっていたと言う。学校側が保護者などに聞き取りを行った結果、事件に巻き込まれた形跡はなく、ただ忽然とその姿が『消えて』しまったのだそうだ。
元々多目的室は二つのクラスが合同で授業を行う際などに利用される部屋で、学年全員が着席できるだけのキャパシティは備えていないはずだった。それでも室内へ集まった生徒を見て、私は驚愕する。
一組だけじゃない。どのクラスも、明らかに生徒の数が少なくなっていた。
「幼馴染、ここ空いてるよ」
聞こえた声に視線を巡らせると、端の席に座ったヨリが手招きをしている。
「ああ、ありがとう。ヨリ」
礼を言い、彼の隣へ腰を下ろす。
穏やかな笑顔を浮かべているものの、彼の表情は少しだけ疲れているように見えた。
「君の身にはまだ何も起きていなかったんだね。良かった」
「ヨリも無事で安心したよ」
「うん……」
そう呟いた彼は、力なく視線を落とす。
「……とりあえず、先生の話を聞こうか」
「そうだね」
部屋の扉が閉められ、三年生の学年主任を務める年配の教諭が壇上へ立つ。
不安げな表情でざわめく生徒をぐるりと見回し、彼は重い口を開いた。
「皆さん、落ち着いて聞いてください」
話によると、数日前から蒼遥高校に在籍する複数人の生徒が学校へ姿を見せなくなっていたと言う。学校側が保護者などに聞き取りを行った結果、事件に巻き込まれた形跡はなく、ただ忽然とその姿が『消えて』しまったのだそうだ。
