*
この世界が少しずつ変わっていることに気付いたのは、それから数日が経った頃だった。
「さあホームルーム始めるぞー……ん?」
ドアを開けて教室へ入って来た担任が、ぽかんとした表情で足を止める。
「おい、真ん中の列どうした」
昨日までは何の予兆もなかった三年一組のクラスに、奇妙な光景が広がっている。
私の席から見てきららちゃんが座る一列を挟んだ右隣、ちょうど真ん中の列に当たる生徒が、誰一人として登校していなかった。
「誰か遅刻の連絡とか受けてるか?」
担任に尋ねられた最前列の生徒が、「分かりません」と困惑の表情を浮かべる。
「どうしたんだろう。寒いから風邪引いちゃったのかな」
眉をひそめるきららちゃんに私は耳打ちをする。
「だとしてもおかしいんじゃない? だって真ん中の列だけ休みなんだよ」
「確かに。変なの」
姿を現さないクラスメイトに対してなすすべもないまま、その日は結局いつも通りに授業が行われたがーー
次の日、私達三年は緊急の学年集会と称して、校内にある多目的室に集められた。
この世界が少しずつ変わっていることに気付いたのは、それから数日が経った頃だった。
「さあホームルーム始めるぞー……ん?」
ドアを開けて教室へ入って来た担任が、ぽかんとした表情で足を止める。
「おい、真ん中の列どうした」
昨日までは何の予兆もなかった三年一組のクラスに、奇妙な光景が広がっている。
私の席から見てきららちゃんが座る一列を挟んだ右隣、ちょうど真ん中の列に当たる生徒が、誰一人として登校していなかった。
「誰か遅刻の連絡とか受けてるか?」
担任に尋ねられた最前列の生徒が、「分かりません」と困惑の表情を浮かべる。
「どうしたんだろう。寒いから風邪引いちゃったのかな」
眉をひそめるきららちゃんに私は耳打ちをする。
「だとしてもおかしいんじゃない? だって真ん中の列だけ休みなんだよ」
「確かに。変なの」
姿を現さないクラスメイトに対してなすすべもないまま、その日は結局いつも通りに授業が行われたがーー
次の日、私達三年は緊急の学年集会と称して、校内にある多目的室に集められた。
