流星とジュネス



 プレゼント交換も終わり、かなたが持って来たゲームや織也くんの家にあったトランプでひとしきり盛り上がった頃――

「いけない。そろそろ帰らないと終電なくなっちゃう」

 壁に掛けられた時計を見上げたきららちゃんが、慌てて立ち上がる。
 彼に触発されて、風間くんもポケットからスマートフォンを取り出した。

「本当だ。俺も終バス逃したらダルいからな」

 楽しい時間はあっという間だ。ヒロミさんには出かける際に帰りが遅くなることを告げて来たが、あまりに遅いと心配させてしまうだろう。
 散らかしていた荷物やクッションを慌てて片し、私達は礼を言いつつ織也くんのマンションを後にした。


 エントランスから外へ出ると、張り詰めるように冷えた空気が纏わり付く。寒い季節は苦手だが、今日に限っては室内で汗をかくほどに盛り上がっていたため、その冷たさが心地いいほどに感じられる。

「皆今日はありがとう。またねー!」
「織也、場所提供してくれてありがとな。あ、あと財布も」

 電車に乗って帰るきららちゃんと太郎くんが駅のホームへ消え、風間くんはバス停へと走って行く。
 彼らの後ろ姿に手を振っていると、「俺も帰るよ」とかなたが白い息を吐いた。

「誘ってくれてありがと。こーやって人んち集まって遊ぶとか初めてだったから……ぶっちゃけ嬉しかった」

 小さい声でぼそりと呟くと、彼はダンベルの入った紙袋を下げて歩いて行った。
 それぞれが解散し、駅前の広場には、私と織也くんだけが残される。

「……家まで送るよ」
「え!? 寒いのに悪いよ」
「いや、調子乗って食い過ぎたし。腹ごなしにちょっと歩きたい気分だから」

 大食いの風間くんに比べると、そこまでたくさんの量を食べていたようには思えなかったけれど。

「ならお言葉に甘えて……」

 私は織也くんと共に、寮がある方向へ歩き出した。