流星とジュネス



 多過ぎるのではないかと心配した料理もクリスマスケーキも、食べ盛りの男子高校生の手にかかればあっという間に平らげてしまった。
 食べた皿を片付け、リビングでは事前に示し合わせていたプレゼント交換へ移る。
 めいめいが持って来たプレゼントに紐を結びつけ、じゃんけんで勝った順に選んで行くことにした。

「あれ、私が一番!?」

 肝心なところではいつも決められない癖に、そこまで真剣にならなくてもいい場面で妙な運の良さを発揮してしまったりする。六人とのじゃんけんでストレート勝ちをしてしまった私は、早速真ん中の紐を手繰り寄せた。

「この包み……」

 見ただけで誰からのプレゼントか分かるピンク色のかわいらしい包装に、きららちゃんがぴょんぴょんと飛び跳ねる。

「わあい! やっぱり海羽ちゃん、きららのプレゼント選んでくれたんだね」

 包みを開くと手作りのアイシングクッキーとボディクリームが入っていた。

「店員さんと一緒に選んだんだー! そのボディクリーム、付けると男の子からモテモテになれるらしいよっ」
「野郎に当たったらどうするつもりだったんだよ……」

 次に勝ち抜いたのはかなただった。右端の紐を選んで引っ張った彼は「うわ、重っ」と顔をしかめる。

「ダンベルって……これ、絶対体育会系からでしょ」
「それいいんだぞ。前のシリーズと比べて初心者向けに握りやすく改良されてるし、何よりここにカウント機能が付いてて……」
「冬の運動って、早起きするより嫌なんだけど!」

 泣き言を上げるかなたに、私は「楽譜が風で飛ばされないように文鎮替わりにもなるかもよ」と慌ててたしなめ、場を諫めた。

「お、次は俺か」

 グーで勝ち、拳を突き上げた風間くんは意気揚揚と紐を選ぶ。

「うわ、何かめっちゃ高そうな財布出て来た!」

 驚く声に背後から覗き込むと、彼の手元には確かに艶々とした質感の長財布が収められていた。

「ああ、それは俺からだな。この前そのブランドの新作商品のモデルの仕事したから、定価より安く譲ってもらった」

 感嘆の声を上げる一同の中で、織也くんが滔々と告げる。

「いいのか? こんなもんもらっちまって」
「ああ。むしろお前の元に行って良かったよ。お前いつも中学生みたいな財布使ってんじゃん」

 織也くんが風間くんの腰にぶら下がるチェーンを引っ張ると、ジーパンのポケットからぼろんとスタッズが沢山付いたぼろぼろの財布が出て来た。

「うわ、それ中学生の頃から使ってたよ。滉平」
「使い慣れてて気に入ってたんだけどなー。ま、この際だし新しくするか」