流星とジュネス



 時は過ぎ、蒼遥高校は冬休みを迎える。
 年末も目前に迫った頃、私は手芸部の二人によって発案されたクリスマスパーティーの当日を迎えていた。

「海羽ちゃーん! こっちこっち!」

 待ち合わせ場所に約束していた駅前へ行くと、既にきららちゃんと風間くん、そして太郎くんとかなたが集まっていた。

「お待たせ。きららちゃん、髪型かわいいね」

 普段はツインテールのきららちゃんだが、今日は緑色のリボンを使ってダウンスタイルの編み込みでまとめていた。素直な感想を告げると、ポインセチアの赤い花のように、彼は華やかな笑顔を浮かべて見せる。

「ありがとう! 海羽ちゃんと二人で過ごすパーティーが楽しみ過ぎて張り切っちゃった」
「俺達もいるけどな」

 横槍を入れた風間くんに、思わず笑い声が沸き上がる。集まって早々盛り上がる私達に、かなたは「どうして俺まで……」と怪訝な表情を浮かべた。

「こんな寒い時期に外出るとか絶対おかしいでしょ」
「んなこと言うなって。渡会の家に持ってくクリスマスケーキはお前が選んでいいから」
「マジで? じゃあ絶対一番甘そうなケーキにする」

 商店街でクリスマスケーキや手土産になりそうな惣菜を選び、私達は織也くんの暮らす駅前の高層マンションへと向かった。

「わ~! 広い!」

 織也くんに迎えられ、最上階の一室へ足を踏み入れる。
 一人で暮らすには余りに十分過ぎる広さの家だ。室内にはシンプルなデザインの家具が置かれ、ガラス張りになったリビングからは普段私達が通う高校を含め、町の景色を一望することができた。

「お、何かいい匂いすんじゃん」

 カーペットが敷かれた床に荷物を置いた風間くんが、視線をオープンキッチンへ向ける。

「ああ。お前らが来るまで時間もあるし、夕飯になりそうなもの作ってた。ローストビーフとアマトリチャーナ、カリフラワーのポタージュあたりかな。持って来てくれた惣菜とかぶんないといいけど」
「天はイケメンに何物あげたら気が済むんだ……?」

 隣でコートを脱ぎながら、太郎くんが呟く。確かに手先が器用なきららちゃんと言いパンケーキを焼きまくる風間くんと言い、彼らの女子力の高さは自身の肩身が狭くなるほどだ。