流星とジュネス

 暗い部屋を出た瞬間、容赦なく降り注ぐ外界の光に目を細める。
 プラネタリウムを後にした私と結城くんは、投映室の外にあるベンチへ腰を下ろした。

「星、すごく綺麗だったね」

 毎晩何気なく見上げていた星空も、名前が分かるときっと楽しいだろう。
 細身の身体に比べてややゆったりとしたシルエットのプルオーバーを着た結城くんは、私の感想に小さく微笑んだ。

「満足してもらえて良かった」 
「にしてもどうして急にプラネタリウムに行こうなんて思いついたの?」

 そう言えば彼と初めて出会ったのも、星空の下だった。
 星を見るのが好きなのかと尋ねると、「確かに趣味と言えば趣味なんだけど」と曖昧に首を傾げて見せる。

「君と、リコリス座流星群について話がしたかったんだ」
「私と?」

 リコリス座流星群の存在は今日のプラネタリウムで初めて聞いた。話を合わせられるか不安だったが、彼は落ち着いたトーンで告げる。