「アムールゲームスは破産したの。熊谷プロデューサーは、会社が解散した翌日に自宅のマンションから飛び降りて……今も意識不明のまま入院してる」

 取り乱されたら力づくでも受け止めてあげたいと思ったが、彼の反応は意外にも落ち着いたものだった。鉛のように重たい空気を揺蕩うように、ゆっくりと、彼の唇から長いため息が吐かれる。

「そっか……でも、生きてるんだね。ジュンは」
「うん」
「俺……ずっとジュンの消息が分からなくて不安だったんだ。だからジュンが生きてることを知れただけで、良かった」

 ありがとう、と掠れた声で呟く結城くんの瞳が揺れる。

(彼はその目で、どんな風にこの世界を見て来たんだろう)

 月夜のような静けさが似合う彼を前に――
 私は未だかつて出会ったことのないプロデューサーの姿を重ね合わせた。