『五月十八日。優秀なメンバーのおかげで、スケジュール通り開発が進んでいる』
『今日の会議で、メインキャラクターのビジュアルが決定した。彼らがこの町で、それぞれの青春を過ごしてくれることを祈る』
日記の下には、見覚えのある面々の画像が貼り付けられていた。
「あ、皆だ……!」
織也くんに風間くん、きららちゃんにヨリと、『約束のエトワール』に登場するキャラクターの立ち絵が掲載されている。日々私が顔を合わせている彼らの姿とは異なり、画像はイラストタッチで描かれたビジュアルとなっていて、画面を通して見える彼らの姿はこんな感じなのかと感心する。
「キャラクターが完成したら、今度は各メンバーのシナリオやBGMなんかを作って行くらしいんだ。日記を読むと、今見えている世界がこうやって作られたんだって分かるから興味深いよ。でも……」
結城くんの声のトーンが落ちる。ページをめくる手は、再び付箋が貼られたページで止まった。
『九月二十一日。信じていた相手に裏切られたような気分だった。昨晩は店で酒を沢山飲んでしまい、偶然居合わせた大島さんと言う初老の男性に助けてもらう』
「詳しいことは書かれてないんだけど、この日にジュンは強いショックを受けたみたいなんだ。あれだけ毎日楽しそうに書いていた開発の日記も、この日を境に更新が停滞して、書かれたとしても不穏な内容ばっかりで」
彼の言う通り、確かに次の日記に書かれた日付は二週間後になっていた。文面にはアムールゲームスの経営が傾いていることに対する苦労が記されている。
「だけど……ジュンの願いが叶うことはなかった」
『今日の会議で、メインキャラクターのビジュアルが決定した。彼らがこの町で、それぞれの青春を過ごしてくれることを祈る』
日記の下には、見覚えのある面々の画像が貼り付けられていた。
「あ、皆だ……!」
織也くんに風間くん、きららちゃんにヨリと、『約束のエトワール』に登場するキャラクターの立ち絵が掲載されている。日々私が顔を合わせている彼らの姿とは異なり、画像はイラストタッチで描かれたビジュアルとなっていて、画面を通して見える彼らの姿はこんな感じなのかと感心する。
「キャラクターが完成したら、今度は各メンバーのシナリオやBGMなんかを作って行くらしいんだ。日記を読むと、今見えている世界がこうやって作られたんだって分かるから興味深いよ。でも……」
結城くんの声のトーンが落ちる。ページをめくる手は、再び付箋が貼られたページで止まった。
『九月二十一日。信じていた相手に裏切られたような気分だった。昨晩は店で酒を沢山飲んでしまい、偶然居合わせた大島さんと言う初老の男性に助けてもらう』
「詳しいことは書かれてないんだけど、この日にジュンは強いショックを受けたみたいなんだ。あれだけ毎日楽しそうに書いていた開発の日記も、この日を境に更新が停滞して、書かれたとしても不穏な内容ばっかりで」
彼の言う通り、確かに次の日記に書かれた日付は二週間後になっていた。文面にはアムールゲームスの経営が傾いていることに対する苦労が記されている。
「だけど……ジュンの願いが叶うことはなかった」
