星空の下で向かい合う私と『彼』の間を、ざあっと温度の低い風が吹き抜けて行く。
「あなたは……?」
くせ毛のかかった髪の毛と、外国人に間違われそうなアンニュイな雰囲気が印象的な青年だ。緊張しながら尋ねると、彼はのんびりとした声で言った。
「俺は、結城密。一年一組の、図書委員」
「私を呼んだのは……あなたなの?」
「そう。文化祭当日の今日、君がこの場所に来ないと、俺達は出会うことができなかった。俺は君にとっての、最後の攻略キャラクター、と言ったところかな」
言い放たれたその言葉に、どきん、と胸が不穏な高鳴りを告げる。
私の動揺を見透かした様子で、彼はおっとりとした口調で言葉を連ねた。
「『熊谷准』のことを、知ってる?」
「どうしてそれを……!?」
出会って早々に核心をつく挨拶を投げかけられ、息が詰まる思いがする。ゲームのキャラクターであるはずの彼が、製作者の名前を知っているのは明らかに不自然だった。
平静を失う私の前に、彼はゆっくりと近寄る。そして耳元に唇を寄せ、小声で囁いた。
「この世界のことを知りたかったら、放課後に図書室へ来て」
風に乗り、ふわりと枯れ葉が舞い上がる。
きっと腑に落ちない表情をしていたのだろう。年下の彼はくすりと余裕のある笑みを浮かべると、「今夜はクラスメイトのところへ行ってあげないと」と答えたのだった。
「あなたは……?」
くせ毛のかかった髪の毛と、外国人に間違われそうなアンニュイな雰囲気が印象的な青年だ。緊張しながら尋ねると、彼はのんびりとした声で言った。
「俺は、結城密。一年一組の、図書委員」
「私を呼んだのは……あなたなの?」
「そう。文化祭当日の今日、君がこの場所に来ないと、俺達は出会うことができなかった。俺は君にとっての、最後の攻略キャラクター、と言ったところかな」
言い放たれたその言葉に、どきん、と胸が不穏な高鳴りを告げる。
私の動揺を見透かした様子で、彼はおっとりとした口調で言葉を連ねた。
「『熊谷准』のことを、知ってる?」
「どうしてそれを……!?」
出会って早々に核心をつく挨拶を投げかけられ、息が詰まる思いがする。ゲームのキャラクターであるはずの彼が、製作者の名前を知っているのは明らかに不自然だった。
平静を失う私の前に、彼はゆっくりと近寄る。そして耳元に唇を寄せ、小声で囁いた。
「この世界のことを知りたかったら、放課後に図書室へ来て」
風に乗り、ふわりと枯れ葉が舞い上がる。
きっと腑に落ちない表情をしていたのだろう。年下の彼はくすりと余裕のある笑みを浮かべると、「今夜はクラスメイトのところへ行ってあげないと」と答えたのだった。