撤収作業を終えた一組は、駅前商店街のお好み焼き店で打ち上げを行うことになった。
 かなたの復学や合唱部のコンサート開催に際して色々と便宜を図ってくれたヨリにお礼が言いたかった私は、クラスメイトに後から行くと伝えて文化祭実行委員会の本部へ足を運んでいた。

「僕も会場設営の仕事をしながらだったけれど、公演見させてもらったよ。噂に違わず素晴らしかったね」
「ありがとう。お客さんをたくさん集められたのも、広報を手伝ってくれたヨリのおかげ」

 実行委員会のメンバーに混ざって本部の後片付けを手伝っていたヨリは、「それにしてもアンコールで幼馴染がステージに出て来た時は驚いたよ」と興奮気味に話す。

幼馴染(フィアンセ)は歌も得意だったんだね。良かったら今度は生徒会室で僕のために歌って欲しーー」
「会長」

 いつの間にかヨリの隣に立っていた水瀬くんがやんわりと嗜める。

「生徒会室はカラオケボックスではありませんよ」

 以前より冴えるようになった水瀬くんのツッコミに、思わず笑顔が零れた。