調理に利用した家庭科室を片付けるため教室を出て行った風間くんときららちゃんを見送り、残された三人でぱくりとパンケーキを口に運ぶ。
「お、美味しい……!」
文化祭の出し物とは思えぬ本格的な食感と味わいが口の中に広がる。将来もし怪我でスポーツができなくなったとしても、パンケーキ屋を開けば風間くんは生計を立てられそうだ。
「それにしても、まさかアンコールを用意してたなんて思わなかったよ」
パンケーキの優しい香りに癒されつつ、私はコンサートの余韻に浸る。
「練習してるところすら一回も見たことなかったから、心臓止まるかと思った」
「あれ、実は桐生くんの発案だったんですよ。内緒で一曲練習して、当日海羽さんにも歌ってもらおうって」
「あんた、トレーニングや休憩で部員がいない時、しょっちゅう俺のシンセでゴスペル弾いてたでしょ」
「嘘。バレてたの!?」
「毎回そればっか弾いてるからよっぽど好きな曲なんだと思って鶴子に提案したけど」
好きなだけじゃないみたいだね、とかなたは口をもぐもぐさせながら首を傾げる。
「……うん」
皿の上にフォークを置き、私は頷いた。
「あれ、私が部長として全国大会の出場を逃した曲なんだ」
「お、美味しい……!」
文化祭の出し物とは思えぬ本格的な食感と味わいが口の中に広がる。将来もし怪我でスポーツができなくなったとしても、パンケーキ屋を開けば風間くんは生計を立てられそうだ。
「それにしても、まさかアンコールを用意してたなんて思わなかったよ」
パンケーキの優しい香りに癒されつつ、私はコンサートの余韻に浸る。
「練習してるところすら一回も見たことなかったから、心臓止まるかと思った」
「あれ、実は桐生くんの発案だったんですよ。内緒で一曲練習して、当日海羽さんにも歌ってもらおうって」
「あんた、トレーニングや休憩で部員がいない時、しょっちゅう俺のシンセでゴスペル弾いてたでしょ」
「嘘。バレてたの!?」
「毎回そればっか弾いてるからよっぽど好きな曲なんだと思って鶴子に提案したけど」
好きなだけじゃないみたいだね、とかなたは口をもぐもぐさせながら首を傾げる。
「……うん」
皿の上にフォークを置き、私は頷いた。
「あれ、私が部長として全国大会の出場を逃した曲なんだ」
