パンケーキとメープルシロップが混ざり合う甘ったるい香りが皿の上から漂う。

「お疲れ様。皆のステージ、私も感動して泣きそうになっちゃった」

 テーブルにつく私と朋花ちゃん、そしてかなたの前にパンケーキを置いたきららちゃんはにっこりと微笑んだ。

「勝手にいなくなるせいでこっちは大変だったんだからな」

 フリルの付いたエプロンを脱ぎながら、風間くんは苦笑いを浮かべてきららちゃんの隣に立つ。

「なんか大変だったみたいだね。一組」
「東雲がテレビ局のレポーター連れて来るもんだから大行列になっちまってな。俺なんか文化祭が始まってから終わるまでずっとフライパン握ってたぞ」

 もう当分パンケーキは作りたくない、とため息をつく彼の表情を見るに、相当な数を焼いたようだ。

「疲れている中私達の分まで焼いてもらってしまってすみません」
「いいってことよ。公演見に行けなかったお詫びに食べてくれ」