流星とジュネス

「……あれ……?」

 仰向けに倒れていた青年は、やがてゆっくりと起き上がる。息を吹き返した友人を主人公が抱きしめ、再びかなたのピアノと共に合唱が始まった。

「イルカ入ります!」

 難破シーンでの暗転と共に舞台袖に退場していた数名の女子部員がスパンコールの付いた水色のチュールを手に、ステージへと走って行く。コーラスに合わせ、彼女達は立ち上がった二人の演者の周りをくるくると回った。

『海岸までやって来たイルカの群れの背中に乗り、二人は島へと帰って来ました』
『島の人々は無事に帰還した勇敢な二人を称え、朝日が現れるまで踊り明かすのでした』

 歌は続く。花冠を身に付けたコーラス隊はイルカ役の部員と共に二人の周りを取り囲むと、制服のポケットから取り出した花びらを空中に投げた。

 ゆっくりと幕が降り、割れんばかりの拍手が会場を包み込む。
 客席から一人、二人と生徒が立ち上がった。

「すごい……スタオベ……!」

 再び幕が上がり、一列に並んだ合唱部員達は驚いたような表情を浮かべて客席の反応を見つめる。拍手はやがてアンコールを促す手拍子へと変わり、部員は待っていたとばかりに舞台上で整列し直した。

 再び静まり返る空間の中、ピアノの前に立ったかなたの指先から、軽やかな旋律が紡がれる。そのメロディを耳にした瞬間、全身が硬直した。