流星とジュネス

「今日が私達三年生にとって、後輩と一緒に立つことができる最後の舞台です。一年生も二年生も、私達と一緒に活動してくれて、先輩として慕ってくれて……ありがとうございました」

 朋花ちゃんの言葉に下級生の女子生徒達がわずかに顔を歪める。まだ泣かせまいと、合唱部部長は晴れやかな笑顔を浮かべて続けた。

「今回のコンサートは、ピンチヒッターとして桐生くんが加わってくれたお陰で、何とか形として完成させることができました。あとは、最後のステージを楽しむだけ。皆、準備はいいですか?」
「はい!」

 見事に重なった掛け声を合図にするように、開演のブザーが鳴る。

『間もなく、合唱部の公演が始まります』
「朋花ちゃん、頑張って」

 部員と共にステージへ向かう朋花ちゃんに声をかける。

「ありがとうございます、海羽さんに、渡会くんも。裏方、よろしく頼みます」
「おう。任せろ」

 ステージの幕が上がり、舞台の中央に立つ二人の男子にスポットライトが当たる。
 寄せては返すさざなみの音に耳を澄ませていた一人の男子生徒が、望遠鏡を片手に客席を指差した。

「南の方角はあっちだ!」

 夏休みから練習を重ねた、合唱部のコンサートが始まった。