流星とジュネス



 その後はトラップに行く手を阻まれることなく、私達はなんとか蒼遥高校の校門へ到着した。

「着いた……!」

 毎日当たり前のように通っている高校も、今日に限っては辿り着いた時の感動がひとしおだ。

「ここが蒼遥……」

 隣で惚けたように校舎を見上げるかなたに、私は声をかける。

「行こう、かなた」
「ああ」

 校内では既に本番へ向け、合唱部のメンバーが最後の準備を進めていることだろう。

(体育館で時間がもらえたら、一回くらいはリハーサルができるかな)

 そんなことを考えながら意気揚々と校門をくぐった私の後ろで、バチンと静電気が弾けるような音がする。

「え?」

 振り返ると、眼前に透き通った赤色のバリアが張り巡らされる。
 校門を隔てるように、かなたはうめき声を上げて地面へしゃがみ込んだ。

「かなた!?」

 咄嗟に伸ばした手が、難なくバリアを貫通する。

(これ……見たことある)

 ゲームの世界へやって来た日、織也くんと共に見た校舎の屋上の景色が脳裏に蘇る。壱師町をぐるりと取り囲むようにして形成された、世界の境界線と同じバリアが今、目の前でかなたの進入を阻んでいた。

 鼻先で細かな電気の粒が弾ける。顔を上げたかなたは、困ったような笑顔を私に向けた。