「……え?」

 高校の方角へ続く道に、『工事中につき通行止め』のコーンが立てられていた。

「さっきは工事なんてしてなかったのに」

 驚く私の声が聞こえたのか、作業員の一人が私達の元へ近付いて来た。

「すみません。ついさっき道路が突然陥没してしまいまして」
「ね、言ったでしょ」

 呆然とする私に、かなたが耳打ちをする。彼が『高校に行けない』とはこういうことなのかと、私は身をもって知った。

「だったらちょっと遠回りになっちゃうけど、駅前の商店街を回って行こう」

 迂回の経路ならいくらでも思いつく。

「かなた、ついて来て」

 私は彼と共に、駅の方角へ向かって歩き出した。