「お待たせ」
高そうなヘッドホンを首に装着し、薄型のノートパソコンを片手に抱えた彼は、静かに男に人差し指を向ける。
「そこ、俺が座るからどいて」
「な、なんだよお前」
「聞こえないの? 俺、これから彼女と打ち合わせだから」
有無を言わさぬ物言いに、金髪の二人組もたじたじになる。次の瞬間、一人が弾かれたように立ち上がった。
「お前、kanataじゃん!」
「kanata!?サウンドクリエイターの!?」
「な!? そうだよな!?」
「うん」
無表情のままの青年を、二人は大興奮で取り囲む。
「俺、めっちゃファンなんです! サインください!」
「いやペン持ってないし」
「じゃあせめて握手を……」
「そこどいてくれるならいいよ」
ハンバーグを食べる私の目の前で突然握手会が繰り広げられる。謎の光景に呆気に取られるうちに、男達は大喜びでテーブルから去って行った。
「あ……ありがとうございます」
当たり前のように目の前に座った青年に、私はおずおずと声をかける。
テーブル脇に立てかけてあったメニューを手に取ると、彼はにやりと笑った。
「助けたから、デザート奢ってくれるよね?」
高そうなヘッドホンを首に装着し、薄型のノートパソコンを片手に抱えた彼は、静かに男に人差し指を向ける。
「そこ、俺が座るからどいて」
「な、なんだよお前」
「聞こえないの? 俺、これから彼女と打ち合わせだから」
有無を言わさぬ物言いに、金髪の二人組もたじたじになる。次の瞬間、一人が弾かれたように立ち上がった。
「お前、kanataじゃん!」
「kanata!?サウンドクリエイターの!?」
「な!? そうだよな!?」
「うん」
無表情のままの青年を、二人は大興奮で取り囲む。
「俺、めっちゃファンなんです! サインください!」
「いやペン持ってないし」
「じゃあせめて握手を……」
「そこどいてくれるならいいよ」
ハンバーグを食べる私の目の前で突然握手会が繰り広げられる。謎の光景に呆気に取られるうちに、男達は大喜びでテーブルから去って行った。
「あ……ありがとうございます」
当たり前のように目の前に座った青年に、私はおずおずと声をかける。
テーブル脇に立てかけてあったメニューを手に取ると、彼はにやりと笑った。
「助けたから、デザート奢ってくれるよね?」