「ちょっと出てくる」

 軽やかなドアベルの音をさせ、店主らしき男性は店を出て行った。

 人もまばらな時間帯。
 カウンターに座る私は、食後のデザートを食べ終えたお皿を端に寄せ、テーブルに頬を乗せていた。

 見るともなく、厨房に立つ後ろ姿の男性を見る。

 今日も違うと分かっているのに、オムライスを食べた。
 二度、来ることは珍しい。

 居心地が良かったのは本当で、懐かしさを感じたのも本当だ。

 ただ明確な理由は、自分でも上手く説明がつかない。