質問した私に、思ってもみなかった答えが返ってきた。
「応援したいって思った時に、応援したかった人がまだいるとは限らない」
優しい、けれど悲しみの陰のある微笑みを向けられ、ますます戸惑ってしまう。
戸惑いを誤魔化すように、カウンターの下で服の裾をギュッと握りしめた。
いつ渡そうかと持っていた、手の中のイヤーカフが掌に食い込んで痛い。
「それって、どういう……」
意味深な言葉を吐いた彼は、欲しい答えをくれずに別のことを話し始めた。
「だからあいつ、思い立ったら行動することにしてるらしいぜ。後悔しないように」
知らぬ間に戻ってきていた誠さんと交代するように、話していた彼は店の奥へと行ってしまった。