誠さんが息を飲んだのが分かった。

 そして瞳に怒りの色が浮かんだのも、手を取るように分かってしまった。

「あんたに、、何が分かるんだよ。だいたい、高校で演劇部に入った学さんの娘ってあんただろ? それを学さんは喜んで……」

 言葉を詰まらせた誠さんは拳を握りしめ、テーブルに叩きつけた。

 まばらだった人は、いつの間にか私達しかいない。

 テーブルがわなないた後は、静けさが辺りを支配した。
 店内に小さくかかる洋楽が場違いに感じるほど、静寂に包まれた。