「ちょ、っと。何? どうしたんだよ」
突然立ち上がった私に慌てたような誠さんを、冷めた目で見つめた。
「母が父は碌でもない人だったと。私は心のどこかで、そんなことないはずだって思っていました」
思い出のオムライス。
その味を辿って、優しい思い出と共に、父は本当は素敵な人で私達をとても愛していたと、心のどこかで思っていた。
そう思っていたかった。
「そんなことないはず、だったろ?」
臆面もなく見つめ返す誠さんに、私はやり切れなくなった。
力強い眼差しに、父の面影を探してしまう自分が嫌になる。
私は八つ当たり気味に思いをぶつけた。
「どこがですか? だって母と私よりも、そんなしょうもない夢が大切だったのでしょう?」