「なんだなんだ。誠の隠し子か?」

 ホールにいた男性が、からかうように話に加わった。

 誠と呼ばれた彼は、男性の胸元を手の甲で軽くたたき、怪訝そうな顔を向けた。

「馬鹿。俺、まだ十九だ。こんな大きな子が隠し子でたまるか。人違いだろ」

 誠さんの言葉に、私は今にも彼につかみかからんとする勢いで反論した。

「そんなわけありません! このオムライスの味を間違えるわけない!」

 三人の視線は、一斉に食べかけのオムライスへと注がれた。

 深いトマト色のリゾットと、半熟卵にデミグラスソース。
 それは思い出の味と同じ。