出来上がった料理を手に、彼は振り返った。 その料理にドキリとする。 胸の鼓動を感じながらも、さっき食べて違ったじゃない。と心の中で苦笑した。 この店で食べられるオムライスは、私が探しているオムライスじゃなかった。 名前も知らない彼はいつの間にか厨房の椅子に腰掛けており、大きな口でオムライスを頬張っていた。 スプーンですくったそのオムライスの断面を見て、愕然とすると思わず立ち上がって声を上げた。