「んな訳ないかっ! 俺の親友に作ってもらったんだよ」
そう言って、健もひょうきんに笑った。
「そっか! 健の友達、パティシエだもんね」
そういえば、健の友達が働いているケーキ屋は、わたしの家の近くだったんだ。忘れてた。
「そ! 小雪ちゃんは、女の子だから可愛いケーキ作ってやんよって張り切ってたぞ」
なんだか嬉しいな。
健は優しいから、周りの友達もみんな優しい。
思わず、わたしは口元をゆるめた。
「俺じゃないぞ! そいつが言ったんだ」
まるで、わたしが健に言われたと勘違いしているみたいだ。
別に勘違いなんてしていないのに。
「もぉ、分かってる!」
「そういえば、これ」
健は、いきなり薄い紫色のリボンで結ばれた箱をわたしに渡してきた。
「わあ、さっき言ってたプレゼント?」
「そ! とにかく開けろ」
命令口調で言われ、わたしはリボンを解いて箱を開けた。