あの日の次の日、14日の土曜日も、美耶子は父と公園に行こうと約束していた。またかよとは思うけど、楽しいから良いだろうと僕も思っていた。
だけど、美耶子がその日を迎えることは無かった。

病院から父に連れられ僕が家へ帰った後、夕食を食べ、僕は寝ていた。深夜1時、電話のベルが鳴り響いた。不吉な予感がした。僕は眠い目を擦り一階へ降りると、父は起きていたらしく受話器を握っていた。
「ああ、……わかった」
その声は、聞いた事がないくらい震えていた。「翔太はどうする? ……本人次第だな。うん。じゃあな」
切った。
「父さん? 」
「……あ、ああ。翔太、落ち着いて聞いてくれ。……美耶子なんだけどな、もうあとちょっとらしいんだ。どうする? 病院、行くか? 」
本当に、美耶子が死んでしまうのか。
消えてしまうのか。
僕は急に不安になってきて、息が苦しくなる。
どうしようかと迷い、父の方を見ると、父も、辛そうに悲しそうに、顔を歪めていた。
でも、やっぱり。
美耶子の最期にいられないのは、彼女にも失礼だろう。ちゃんと、その時が来るのなら、別れを言わないと。
「行く」
ただ一言だけ、父に言った。僕の言葉に頷いた。