僕は最寄りの駅まで自転車で行き、電車に乗り込んだ。今通う高校は、父が行った方が良いと言い、無理やり入れられたのだけど、やたら課題が多くほんとに面倒くさい。
「あーあ」
小さくため息を吐き、座席に座るとカバンの中から英語の参考書を出し開いた。
『This song resembles the cry of my heart.(この歌は私の心の叫びに似ている。)』
なぜこんな日にこの例文なのだろう。いやが応にも今日は彼女の事を思い出すというのに。
色々と考えるうちに、電車は学校の最寄り駅にたどり着こうとする。僕はそっと本を閉じ、カバンにしまった。

同じ駅で降りる沢山の同級生や先輩達の波に乗って、僕は学校を目指す。みんなゆっくり友達と喋りながら歩いていて、なんだかイライラしてくる。こんな日にも、みんな思い切り笑って。しょうがないことなんだけど、やっぱりそれは強く胸に突き刺さる。