7年前の1月13日、その日は金曜日だった。13日の金曜日。よくジェイソンの噂を耳にしたりするだろう。不吉な日だった。
その日も僕はいつものように小学校へ向かうため家を出た。ただ、妹の美耶子は準備が遅くなり置いていった。
「行ってらっしゃい」
後ろから母の声がして、僕は軽く手を挙げつつ振り返り、そしてまた前に向き直って歩き出した。
空を見上げれば、鮮やかな青色の冬晴れだった。空気も乾燥しひんやりしていて、しみじみと季節を感じる。息を吐けば視界が一瞬霞むほど白くなる。
僕の小学校は家から徒歩で10分ほどのところにある。今は3年生だからもう慣れたものだ。いつものように、冬の景色に気分が良かったので鼻歌を歌いながら校門をくぐった。
「おはよー」
僕は言いながら教室へ入った。3年1組は男子17人、女子18人の35人学級だ。既に登校していた数人は僕の声に振り返り、「おはよう」と次々と返してくれる。いつもと変わらない朝だった。
それが一変したのは20分後のことだった。朝の読書をしていると、クラスの担任の先生が慌てた様子で僕の方へ向かってきて、
「話があるから、付いて来て」
と言ったのだ。周りの席のクラスメートは心配そうな顔をしていたが、僕はただ「はい」とだけ答えて、先生の後に続いた。
先生は廊下に出ると、ずっとずっと先へと歩いていく。教室が暖房が効いているからか、廊下と温度差が生じて窓ガラスが濡れていた。最初は分からなかったけど、僕は先生が職員室へ向かっているとわかった。何か悪いことでもしただろうか。
いよいよ職員室が視界に入って来たが、その手前の扉を先生は開けた。そこには「面会室」と書かれてあった。
「入って」
先生が言うので、僕も入っていく。ミニテーブルとソファが二脚あるだけの空間。先生とテーブルを挟んで向かい合う形で座った。何を言われるのだろうと僕が身構えていると、先生は表情を和らげて、
「 翔太くんが何か悪いことをしたとか、そう言うのじゃないから……」
その言葉に僕はホッと胸を撫で下ろすが、先生はすぐに険しい顔をして言った。
「実はね翔太くん。美耶子ちゃんが交通事故にあって、救急車で運ばれたの」
その日も僕はいつものように小学校へ向かうため家を出た。ただ、妹の美耶子は準備が遅くなり置いていった。
「行ってらっしゃい」
後ろから母の声がして、僕は軽く手を挙げつつ振り返り、そしてまた前に向き直って歩き出した。
空を見上げれば、鮮やかな青色の冬晴れだった。空気も乾燥しひんやりしていて、しみじみと季節を感じる。息を吐けば視界が一瞬霞むほど白くなる。
僕の小学校は家から徒歩で10分ほどのところにある。今は3年生だからもう慣れたものだ。いつものように、冬の景色に気分が良かったので鼻歌を歌いながら校門をくぐった。
「おはよー」
僕は言いながら教室へ入った。3年1組は男子17人、女子18人の35人学級だ。既に登校していた数人は僕の声に振り返り、「おはよう」と次々と返してくれる。いつもと変わらない朝だった。
それが一変したのは20分後のことだった。朝の読書をしていると、クラスの担任の先生が慌てた様子で僕の方へ向かってきて、
「話があるから、付いて来て」
と言ったのだ。周りの席のクラスメートは心配そうな顔をしていたが、僕はただ「はい」とだけ答えて、先生の後に続いた。
先生は廊下に出ると、ずっとずっと先へと歩いていく。教室が暖房が効いているからか、廊下と温度差が生じて窓ガラスが濡れていた。最初は分からなかったけど、僕は先生が職員室へ向かっているとわかった。何か悪いことでもしただろうか。
いよいよ職員室が視界に入って来たが、その手前の扉を先生は開けた。そこには「面会室」と書かれてあった。
「入って」
先生が言うので、僕も入っていく。ミニテーブルとソファが二脚あるだけの空間。先生とテーブルを挟んで向かい合う形で座った。何を言われるのだろうと僕が身構えていると、先生は表情を和らげて、
「 翔太くんが何か悪いことをしたとか、そう言うのじゃないから……」
その言葉に僕はホッと胸を撫で下ろすが、先生はすぐに険しい顔をして言った。
「実はね翔太くん。美耶子ちゃんが交通事故にあって、救急車で運ばれたの」