起きてるかと思ったけど、眠っている。




「……ゆう、ちゃ……」


「―――……っ」




その声に、胸が締め付けられる。


痛い。
胸のところ、すっごい痛い。


なんで、だって、蓋した筈なのに。




「ゆう、ちゃん……」




夢に出てくる程、“悠二”が好きなわけ?
大体2年も離れてるのに、なんで好きで居られるの?


たまに手紙が来るだけなのに。


あぁ、もう。
本当、全部やだ。


涙で濡れるまつ毛を指ですくって、頭を撫でる。
さらっとして、柔らかい髪の毛。




「……さつき……」




小さく呼んで、額に唇を落とした。


俺のことを、悪魔とか意地悪とか、わがままって言う女は、あんただけだよ。


“悠二”が好きで堪らなくて、“悠二”しか見えてないのに。


あー…なんであんたなんかに。


ただ、苦しいだけなのに。
勝ち目なんてこれっぽっちも無いのに。


いっそ俺の目の前で、“悠二”とさつきがキスでもしてくれたらいい。
そしたら俺は諦められるし、応援だって出来る。


この気持ちは、仕舞っておこう。
蓋をして、そして忘れてしまおう。


そうすればきっと、痛くない。