「いいよの、ありがとうね。さつきの傍に居てくれて」
「いえ」
「居てくれて良かったわ。あの子も安心したでしょうね。そうだ、夜ご飯食べない? こんな時間だし、お腹空いてるでしょ?」
時計を見ると、19時半前。
確かに腹は減ってるけど。
「ありがとうございます。でも今日は遠慮します。是非また、誘ってください」
「そうよね。お家でご飯準備してるわよね。急に誘ってごめんなさい」
「いえ、ありがとうございます。嬉しかったです」
俺が居なくても、もう大丈夫だな。
2階に荷物あるから取って来ないと。
「俺、帰ります」
「聖夜くん、今日はありがとう。またいらっしゃいね」
「はい」
なるべく音を立てないようにそっと部屋の中に入る。
あいつはすやすやと眠ってるみたいだ。
「……ねぇ」
一応、声をかけてみる。
反応はない。
「寝てるか……」
壁側に置いてる鞄に手を伸ばしたとき、
「……ふ、ぅ……」
小さく、掠れた声がした。
……え?
ゆっくり顔を覗くと―――泣いていた。